for PARTNERS

MATSURIとはWhat's MATSURI

MATSURIとは、様々な業界のプレイヤーが立場や業種を越えて知恵を出し合いながら、今までなし得なかった「藻を基盤とした社会」を構築するプロジェクトです。

MATSURIとは

MATSURIは、研究開発の視点から理想論を語るだけではなく、ちとせグループの藻類産業の構築に資する実績を活かした科学的・論理的でオープンな議論をすることで、熱狂的でありながらも現実的かつ実践的なプロジェクトとして多くのプレイヤーを巻き込んで拡大していきます。

藻類産業での事業展開に興味がある各産業界の主要プレイヤーには、産業構築パートナーとして産業構造のあり方の検討会(=MATSURI検討会)に加わって頂きます。この検討会こそがMATSURIの核であり、誰がどこに投資し、誰がどれだけのリターンを得るのかという新産業の絵姿を決める場になります。

法人パートナーは、MATSURI検討会での検討結果やMATSURI事務局から発信される藻類に関する様々な情報を得ながら、萌芽し始めた新産業の中でそれぞれの企業の役割・位置づけを見極め、徐々に新産業への参画度合いを深めて頂きます。

また、MATSURIでは将来の絵姿を話し合うだけでなく、藻由来の商品(プロダクト)を世の中に展開します。こうした取り組みの進展状況を社会に発信していくことと、藻由来のプロダクトを社会に展開することで、新産業創出のムーブメントを大きくしていきます。

徐々に多くのプレイヤーを巻き込みながら、藻が生み出す社会を、我々が世界に先駆けて具現化する。その強い意志こそがMATSURIの原動力なのです。

2023年度上半期 MATSURI全体会

2023年10月17日に開催されたMATSURI全体会 コロナ明け初の対面開催となり、国内外オンライン合わせ300名以上のパートナーの皆様にご参加いただきました。

実行体制

世界最先端の研究開発を運営しながら、MATSURI検討会で議論を重ねて事業化・産業化に向けた計画を整理します。また、それらの結果を社会にアピールし、発信し続けます。

MATSURI
事務局

情報共有・情報発信
社会・行政への情報発信
様々な交流会やWebサイト等の媒体を通じた情報発信
ワークショップ・勉強会
参加者間の情報共有

情報提供

検討会運営
A1:産業構造検討会
産業構造の中で、各社の役割分担を議論・整理
A2: LCA/TEA/RA検討会
環境性・経済性を定量的に議論・整理
B1: ⽤途開発検討会
最終製品のあり⽅・開発⽅針を議論・整理
B2: ⽣産設備検討会
藻類⽣産設備の最先端を議論・整理

情報提供

研究推進
知財・情報マネジメント
各研究から得られる知的財産の整理
研究マネジメント
各研究・調査の⽴案・運営・実施
  • 生産研究A
  • 生産研究B
  • 加工研究A
  • 加工研究B
  • 加工研究C
  • 用途研究A
  • 用途研究B
  • 用途研究C
  • 学術調査A
  • 業界調査A

LCA: Life Cycle Assessment /
TEA: Techno-Economic Assessment /
RA: Resources Assessment 

MATSURI検討会

各産業界を代表する企業で構成する検討会を開催。
藻類産業の構築に向けた今後の戦略と参加各社の役割を4つの視点で整理し、藻類産業のバリューチェーンを作り上げていきます。

A産業基盤の構築

A1: 産業構造検討会
藻類バイオマスをどう分配することが、経済合理性の観点で⾒てよいか?
物流やバリューチェーン全体の中での変換設備のあり⽅、場所は?
誰がどこに投資し、どうリターンを配分するのか?
A2: LCA/TEA/RA検討会
マテリアルバランスの視点で合理的な計画か?
⻑期的かつマクロな視点で⾒たときの環境への評価をどう捉えるか?
CO2固定という観点で⾒たときの有効性は?

B技術基盤の確立

B1: 用途開発検討会
燃料・プラスチック・塗料・⾷品等様々な原料としてどう連携しながら活⽤することが最も経済価値が⾼まるか?
それぞれの⽤途の経済価値を⾼めるための付加価値の出し⽅は?
B2: 生産設備検討会
現在の70t/ha/yを上回る⽣産性を安定的に出すための⽅法は?
現在の⽣産設備コストを下回るための⽅法は?
収穫・精製・変換の各⼯程のロスを減らす⽅法は?
  • 検討会についてより詳しい情報をご覧いただけます。
  • 共同研究、検討会、情報共有・発信において、秘匿されるまたは共有される情報は、研究推進チームおよび当事者間での協議・合意の上管理されます。情報の取り扱いについては以下よりご覧いただけます。

主な活動

MATSURIの主な活動の概要です。

全体会(年2回)
半期に一度、全パートナーが集まって、MATSURIの活動を総括する会
勉強会(不定期)
都度テーマを設けて実施する、藻類産業構築に係る勉強会
ワークショップ(不定期)
都度テーマを設けて実施する、藻類産業構築に係るインタラクティブな催し

今年度の具体的な開催日程につきましては、以下のページを更新しておりますのでご覧下さい。

MATSURIと
連携・協賛する取り組み

規格・標準化に関しては一般社団法人日本微細藻類技術協会(IMAT)と協力、屋外・大規模培養に関してはSarawak Biodiversity Centreや屋外大規模培養実証プロジェクト(NEDO)と連携しながらMATSURIを推進していきます。

MATSURIプロジェクト連携イメージ図

屋外大規模培養実証プロジェクト(NEDO)

ちとせ研究所がNEDOからの委託により実施する、バイオジェット燃料生産を念頭に置いたプロジェクト。赤道直下の温暖な気候域において、PBR技術および発電所排気ガスを有効利用した大規模な微細藻類バイオマス生産実証を通じて得られたバイオマスサンプルを、「将来的なバイオジェット燃料生産の経済性改善等に貢献する」共同研究等において有効利用する等、MATSURIプロジェクトとも連携していく予定。

(下図):PBR技術および火力発電所排気ガスを利用した世界最大級の藻類培養の実証​

一般社団法人日本微細藻類技術協会(IMAT)

微細藻類の研究・開発をより体系化・効率化する上で必要となる各種標準手法・条件の整備、また、標準手法を用いた各種試験より得られるバイオマス生産性、経済性、環境性に関する標準データの取得を可能とするテストベッドの整備が実施される。一部有用情報の共有、標準化に必須となる前提・境界条件に関する協議、産業界・行政への提言等を、MATSURIを含む様々な藻類関連プロジェクトと連携を図って推進していく予定。

(下図)藻類研究開発および産業化に必要な標準・規格の整備、標準試験を可能とするテストベッドの整備​
  • モデル藻類種の選定​・培養系確立​
  • 3種の基本培養システム
    培養・測定条件の標準化
  • 気候条件の標準化
  • 各種下流工程設備の導入
    手法の標準化

発起人からのメッセージ

Dr.Takanori Hoshino

Dr.Tomohiro Fujita

ここでの「発起人」とは、本プロジェクト(MATSURI)を発案し、始めた人を指しております。

藤田 朋宏 Ph.D.

ちとせグループ 創業者 兼 CEO東京大学農学部、外資系コンサル企業を経て、ちとせ研究所の経営を皮切りに、日本、マレーシア、シンガポール、ブルネイに複数のバイオベンチャーを設立。それらすべての成長に経営者として携わり、千年後から見た現在という視点で先端のバイオ技術を事業に変え、社会に浸透させる方法を模索している。京都大学特任教授・内閣官房バイオ戦略有識者

藻類産業を立ち上げる取り組みに携わって十数年。ー企業がどうにかできるような話ではないと考えた私はベンチャー企業がよく行う拡大手段とは異なる方法でこの目標に邁進することにしました。

私の方法は、いくつもの大企業に「一緒にやりましょう」と掛け合い、行政に「これは国家で取り組むべき話だ」と掛け合い、国内の有名企業を集めて業界団体を設立・運営するなど、文字通り駆けずり回ることです。大型ベンチャー達が私の予想通り数百億円の資金を集めて結局何もできずに散っていった様子を横目に見ながら、大変ありがたいことに、我々があちこちを駆けずり回る過程で本当に多くの方のご支援を得て、この壮大なプロジェクトを一歩ずつ着実に進めることができました。
今や、世界で最先端の位置に居ると言っても恥ずかしくないところまで来れたと自負しています。

しかし、あちこちを駆けずり回る中で、本格的に藻類産業を立ち上げると言う壮大な目標を実現するためには、以下の3つが足りないということに気づきました。

  • 様々な立場の方の意見を集約したロードマップではなく、計画の遂行にコミットした組織体を明確にした形でロードマップを作ること。
  • 「カスケード利用」や「高付加価値からの実用化」などと肝の座っていないことを言わず、産業構造そのものを最初から作りきってしまうこと。
  • 「バイオ業界の研究者が集まり研究開発を共に行う」のではなく、「産業そのものを構築する」という意志を持った多くの立場の参加者を集めること。

私が、MATSURIというプロジェクトを立ち上げたのは、この3つを一気に進めるための仕組みが必要だと考えたからです。

この考えに賛同してくれた企業と共に、我々が覚悟と情熱を持って藻類産業を立ち上げます。「藻類産業を立ち上げる」という誰も見たことがない大きな山車を担ぎ、全ての産業の中をうねるように山車を引き回す中で、さらに賛同者が集結し、山車も祭もどんどん大きくなる。
そんな情熱的な祭のように我々の覚悟が広まれば、新しい産業を興すという大それた夢もより早く、より大きく実現することでしょう。

私は、この取組みも必ず成功すると確信しているので、これから始まるお祭りが楽しみでなりません。

星野 孝仁 Ph.D.

ちとせ研究所 執行役員 藻類活用本部本部長東京大学農学部卒業。アリゾナ大学にて博士課程修了後、2015年までアリゾナ大学にて上級研究員として微細藻類バイオマス大量生産を目的としたフォトバイオリアクターの開発・研究に携わる。2015年ちとせ研究所に入社、現在は藻類プロジェクトの責任者として事業を牽引している。

1870年頃、ガソリンは産業廃棄物として廃棄されていたそうです。

石油採掘の成功により、1859年にはわずか2,000バレルであった原油生産量が、1869年には4,215,000バレルにまで急激に増加した一方で、その用途がランプ灯の他になかった為だそうです。

ところがその状況は、内燃機関の開発・発達・普及とともに一変します。1900年代の産油量および消費量の増加はご存じの通りです。1929年には、原油生産量および精製油生産量は、1859年の約50万倍に相当する約10億バレルにまで増加しました。

その中で大きな成功を収めたのがスタンダードオイルです。彼らの成功は、急激な需要増を背景に、製油所から始まり、その上流である鉄道(輸送)、集油ラインを統合し、独占したことによると言われています。また、同社はワセリンやチューインガムを始めとする300以上もの石油製品の開発も手掛けたそうです。つまり、多様な用途・市場の開発、プロセスの統合・独占による低コスト化、および参入障壁の確立による利益確保です。

原油を藻類に置き換えてみてください。現状、その生産量は世界全体で約2万トン程度、用途はわずかにサプリメントや化粧品のみ。しかし、人類が持つ技術の中で最も効率的な一次生産において、その大規模化が確立され、大量消費が期待される用途が確立され、さらにはそのサプライチェーンが確立された時、なにが起きうるのかは想像に難くないのではないでしょうか?

夢物語だと嗤うか、祭を楽しむか。それだけのことだと思います。

この祭を私達と一緒につくっていきませんか。