東京大学 大学院農学生命科学研究科・農学部 One Earth Guardians育成プログラム(以下、OEGs)※1主催の新講座「共生型新産業創出コロキウム」※2の一環でフィールドワークが実施されました。今回のフィールドワークでは、広島と佐賀における微細藻類関連の技術開発の取り組みを視察し、これからの課題や展望について学ぶことを目的としています。また、OEGs、佐賀市はかねてよりちとせグループが展開する藻類基点の環境持続型産業創出プロジェクト「MATSURI」に参画いただいており、今回の訪問につながりました。
第1回国内フィールドワークは2024年12月9日、10日の2日間にわたり、コロキウムの受講者および関係者19名が参加しました。初日は、広島県大崎上島にあるIMAT(一般社団法人日本微細藻類技術協会)を訪問しました。IMATは、微細藻類の産業利用や関連技術の発展を推進する目的で設立された一般社団法人で、ちとせ研究所から出向している野村純平が事務局長を、青木慎一が研究開発部長を務めています。IMATでは、敷地内で実施されている微細藻類の研究や、関連技術の開発現場を見学しました。
その後、現地のビジネスや研究活動について学ぶ機会として、関連する2つの施設を訪問しました。微細藻類を飼料として牡蠣や車海老の養殖を行っている株式会社ファームスズキでは、養殖池を見学し、微細藻類の応用可能性について理解を深めました。続いて、広島商船高等専門学校では、海上藻類培養や藻類バイオ燃料の生産効率向上について研究されている大沼みお准教授の研究室に伺いました。いずれの訪問先でも、これまでの講座で得た知識を踏まえ、微細藻類の生産に伴う課題について活発な議論が行われました。
国内2度目のフィールドワークは、2025年1月10日に佐賀市で実施されました。17名が参加し、一般社団法人さが藻類バイオマス協議会のご協力のもと、佐賀市清掃工場(ごみ焼却施設)を訪問しました。こちらの施設では、CCUプラント※3と呼ばれる設備を見学させていただきました。CCUプラントは、ごみを焼却した際に発生する排ガスからCO2のみを分離回収する設備で、回収されたCO2は微細藻類の培養などに活用されています。このような、ごみ焼却施設におけるCCUプラントの導入は日本初とのことです。
これら2回にわたるフィールドワークでは、昨年10月から本講座で学んできた知識が使われている現場を実際に見ることができ、研究に関わる方々との交流を通じて各土地ならではの微細藻類の応用可能性についても更に理解を深める貴重な機会となりました。
次回フィールドワークは、マレーシア・サラワク州にてちとせが運営する、世界最大規模の微細藻類生産施設「CHITOSE Carbon Capture Central (C4)」の訪問を予定しています。詳細はこちらをご覧ください。
※1 One Earth Guardians育成プログラムとは、2017年12月に東京大学大学院農学生命科学研究科が、100年後、人類が地球上のあらゆるものと共存していける世界を作るために必要な人材を育成しようと立ち上げたプログラムです。セミナーや講義、ワークショップなどの様々な活動を通じて、新しい価値を創造することのできる「巻き込み力」を持った科学者たち「地球医=One Earth Guardians」を育成するという活動に、ちとせグループは賛同し、協力をしています。
※2 本講座はNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の採択を受け開講されたものです。
※3 Carbon dioxide Capture and Utilizationの略
共生型新産業創出コロキウム開催概要
日程:2024年10月〜2026年3月
時間:原則木曜5限 16:50〜18:35
会場:東京大学 弥生キャンパス
関連情報
[外部] 「共生型新産業創出コロキウム」ウェブサイト
[ニュース] ちとせグループが協力する東京大学OEGs育成プログラム主催の新講座、微細藻類を基点にこれからの産業を提案する「共生型新産業創出コロキウム」が開講しました
[外部] 【共生型新産業創出コロキウム|フィールドワーク報告】IMAT ほか、広島・大崎上島に微細藻類の研究拠点をたずねて
[外部] IMAT 一般社団法人日本微細藻類技術協会
[外部] 佐賀市 | 二酸化炭素分離回収事業について
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