ちとせグループは、微細藻類を原料に100%バイオPET樹脂の生産を目指す新プロジェクト「PET-MATSURI」を発足しました。本プロジェクトは、これまで技術的に困難とされてきたPET樹脂のバイオ化に挑む、世界初の試みです。「PET-MATSURI」は、藻類産業を構築するプロジェクト「MATSURI」のサブプロジェクトとして実施されるものであり、現在MATSURIパートナー企業約100社のうち、既に20社以上に参画を表明いただいております。この取り組みでは微細藻類を用いて芳香族炭化水素※を生産し、微細藻類由来のバイオPET樹脂の実現を目指します。さらに、微細藻類からPET樹脂を作る過程で、他の種類の樹脂を生産できる可能性も期待されています。
※ ベンゼン環を基本構造とする有機化合物で、プラスチックや化学製品の原料として広く利用される物質です。芳香族炭化水素生産のバイオ化は技術的に非常に困難と考えられています。
PET樹脂は、ペットボトルの素材として知られているだけでなく、食品包装や化粧品容器、また衣類の繊維など幅広い用途に使用されています。OECDの試算では、2060年までに新たに約1億トンが生産されると見込まれています。PET樹脂やペットボトルといえば、リサイクルを思い浮かべる方も少なくないかもしれませんが、完全なリサイクルは難しく、毎年新たな石油由来のPET樹脂が大量に生産されています。これに対し、トウモロコシやサトウキビなどを原料の一部に使用したバイオPET樹脂も既に生産されていますが、これら陸上植物由来の原料には、食糧用途との競合や農地の制約といった課題があります。
微細藻類を大量に培養し、PET樹脂の原料を生産する取り組みは世界でも例がありません。さらに、このように日本企業が一丸となって挑戦する取り組みは、技術革新に期待できるだけでなく、国内産業全体の競争力向上にも繋がると考えています。ちとせグループは「PET-MATSURI」を通じて、石油依存からの脱却を目指し持続可能な社会の実現に向けた新たな一歩を踏み出します。これからもバイオエコノミーのさらなる発展に貢献してまいります。
関連情報
[ニュース] 「MATSURIサブプロジェクトの始動!〜PET-MATSURIおよび手土産MATSURIについて〜」と題し、MATSURIパートナー企業限定情報共有会を開催いたしました
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